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やっとできた管理規約改定

管理組合の運営

やっとできた管理規約改定

マンション管理士 池 田 一 雄   

管理規約は、管理組合の最高の自治規範(根本原則)であると言われています。

今回は、さいたま市内にあるマンションの規約改定に係わった活動を紹介します。

このマンションは、駅から徒歩10分 ,築15年、63戸、管理会社への全面委託管理、役員は輪番制の1年交代。管理会社への依存度が高く、近年居住者の高齢化と賃貸化が進んでおり、不在区分所有者も9戸です。

このマンションは、区分所有者が入居以来、大きな規約改正はせずに、その都度、運用論で、15年間過ごしてきました。今まで、改正してきた事は、その場しのぎで、必要に迫られて、「占有者の駐車場・駐輪場の使用可否・許諾」などであり、管理会社も手間と時間の掛かる管理規約の改正は、なかなか提案・推奨しません。

従って、入居後の社会状況のニーズ、居住実態の変化、再三の法令・標準管理規約改正などについての検討はされていませんでした。理事会は、当然のごとく配偶者が代理人として出席、白紙委任状による総会決議、役員のなり手不足、役員の1年交代の輪番制の弊害は多発し、高齢化対策、賃貸増加に対する対策、立駐機の空きスペース対策、駐輪場の混乱と不足への対策もてつかずで、大規模修繕後のフォロー体制もなく、管理会社主導による高い費用の小規模修繕の実行等が行われて来ました。

区分所有者の有志は、毎期、管理組合活動の有り方、規約の改正などを提案してきましたが、輪番制の1年交代の役員のため、その都度、翌年に先送りされ、数年経っていました。

そこで、平成22年8月に有志数人が集まり理事会    に規約委員会の設立を要望し、平成22年9月の総会の承認を得て、規約委員会を設立し活動をスタートしました。

 規約改正委員会の活動状況

1.平成22年10月3日の新年度理事会で、

①規約委員会の運営方針案

②規約委員の経費請求基準

③規約委員会の活動目標

が承認されました。

2.理事会で承認された「規約委員会の活動内容」は、平成22年10月に建物内に掲示しました。更に、毎回の委員会の開催案内を掲示しました。

3.平成22年10月30日 第1回規約委員会を開催。委員会の構成は、委員長、副委員長、書記を含め5名で、1名は理事会の理事が参加しました。

皆で、委員会の活動方針を確認し、今後の日程などを検討しました。

①原則2週間に1回開催。(3時間/回)

②毎回、終了後に次の開催時の検討事項の確認

③規約の改正の完了は、1年以内とし、アンケート、理事会への答申、住民説明会を行い、次期総会に提案すること。

4.第2回以降

(1)区分所有者および居住者(以降、区分所有者等と称す)に「委員会で検討する主な規約事項」を通知すると共に,「委員会への検討要望事項」を募集しました。

その結果、委員会で検討することになった主な規約事項は以下の通りです

①「窓ガラス等の改良」の管理に関する責任と負担

②駐車場使用料などの収入・支出の区分経理  

③役員の選任に関連し不在区分所有者、役員辞退者の取り扱い

④役員任期の半数2年交代、複数年任期立候補制

⑤役員の報酬などの検討

⑥総会の時期の検討(新年度から3カ月以内は長すぎる。)

⑦理事会への代理出席者について検討 

⑧諸専門委員会設置

⑨その他 駐輪場の増設、有料化、細則の作成

(2)改正案の作成については、次の点を参考にしながら、検討しました。

①現在の標準管理規約(平成16年度版)と対比

②国交省のマンション管理標準管理指針の「標準的な対応、望ましい対応」(平成17年度版)

③国土交通省の「平成20年度マンション総合調査」

④国土交通省が平成22年12月に集計したパブリックコメント

5.第3回以降は、現行の管理規約の第1条から見直しを行いました。

6.第7回(平成23年2月)から、条文の検討を行うと共に手分けして、住民に深く関係する「駐車場」、役員の人選・任期」、[駐輪場」等のアンケートの作成に着手しました23年5月末にアンケートを配布して、6月中旬にその集約を行い各戸に配布しました。

7.アンケートの結果

多くの点について、区分所有者の賛否の意見が拮抗しており、再度、重要な事項についてアンケートを行いました。これらのアンケート結果を検討して規約改正案に反映しました。

8.規約委員会の活動成果

当委員会は、平成22年10月から活動を開始し、委員会を21回開催し住民アンケートを2回、理事会と7回協議を行い、管理規約の改正案を作成しました。

9.住民説明会

平成23年7月末に、区分所有者等に住民説明会(参加者40人)を行い委員会の検討結果を報告しました。

今回の規約委員会の活動では、規約の内容の見直しが30条文、細則の見直しが8条文、申請用紙・届出用紙・契約様式・承認様式の見直・追加が23件でした。  

10.継続案件

なお、規約委員会が活動期間が約1年と短く、今後引き続き検討を要する事項としては、次のことがあり、次期理事会で検討することになりました。

①役員の選任(原則は輪番制、立候補・推薦制採用

②役員を2年任期とし毎年半数交代

③輪番制役員の不就任の取扱い(組合運営協力金の負担)

④不在区分所有者の住民活動協力金の検討

⑤総会の開催時期(新年度から2カ月以内)

⑥駐車場の管理は、専門委員会を開設し検討

11.規約委員会活動を通して習得したもの

①区分所有者等が規約に対して理解を深めた。

②規約委員および理事達が規約の重要性を認識。

③区分所有者等がアンケートを通して、自分の意見を表明する機会が与えられ、その結果の報告で、 

他の区分所有者等の考えを知ることができた。

④アンケートや、規約改正の事前説明会を開催した結果、規約委員会の活動内容および改正内容が理解され、総会で無用な質疑が避けられた。

⑤規約改正を通して1つの住民コミュニティが形成された。

⑥管理会社や専門家への規約改正に係わる費用をセーブできた。

このように、規約の改正は、ただ現行を改正すれば良いというわけではなく、居住者の意見をよく聞いて、実態に即した改正を行い、居住者がこれを遵守することが重要です。

いずれにしても、今後も管理組合の憲法としての管理規約・使用細則を最適なものに維持・管理してゆくことが重要です。 

 管理規約と法律の適用順序

管理規約は、管理組合と区分所有者(管理・使用については賃借人を含む)の特約です。

この規約に定められていない事項は、区分所有法や判例によります。

それらにも該当しない事項は民法やそれに係わる判例によります。

つまり管理規約に定められて居ないことは、法令や判例やそれに関係する慣習(法)が適用されます。

 

管理規約(特約)当事者の合意 判 例
             
区分所有法
民 法
民 事 慣 習
商法
商事慣習
その他の関係する法律
公法(憲法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法)

 


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